フェニックスならではの故障と修理対策をショベル経験者が語る!

―ある日突然訪れるトラブル―

フェニックス・ショベルを購入してから数か月間は、故障らしい故障には遭遇しませんでした。そもそも「旧車は良く壊れる」とは聞くものの、一体どんな箇所がどう壊れるのかすら、想像できませんよね。そんな実感のないまま、その時は突然やってきます。

とある高速道路のSAで、すでにその兆候は表れていたのですが、その時は単にキックの始動がぎこちなかったために、へそを曲げた程度にしか思っていませんでした。

しかし高速道を降りて数分で、エンジンがプスプスッと変調を訴え、ついに止まってしまった……。

クルマでもエンジンが掛からないと、とりあえずボンネットを開けますよね。でも何が起こっているのか一切分からない人も多いんじゃないでしょうか。まさにそんな気分でした。ガス欠ではないことは明らかなのに、一応ガソリンキャップを開けてみるも問題なし。

やむなく購入時に加入していたロードサービスに、購入したバイク屋へ運んでもらうことに。

たまたま友人とバイクで待ち合わせしていたので、帰路はタンデムで事なきを得ましたが、数日後にバイク屋から告げられた故障の原因に、筆者は情けなくなりました。

フェニックス 故障

キャブレターのピストンが煤で汚れて動かなくなっていた」というのです。そんなトラブルは国産車では滅多にありませんよね。

それには驚きましたが清掃を怠っていなければ、あるいは手元に潤滑スプレーがあれば、簡単に対処できたというバカらしさにも驚愕。

幸いにして、購入した中古車店には1年間の保証がありましたので修理は無償。同時にメカニックに手ほどきを受けたおかげで次回からは自分で切り抜けられます。

“キャブレターが調子悪い時”の対処法をひとつ、脳内のメンテナンス・フォルダに上書きされました。

そうそう、年間1万円弱の会費で日本全国どこへでも駆けつけ、距離無制限(有料道路代は別途請求)で運んでくれるロードサービスは非常に重宝しますので、フェニックス・ショベルに限らず旧車のH.D.を購入の際には、絶対的に加入することを強くお勧めしますヨ。

―持病に向き合い、打ち勝つ―

フェニックス 故障

初めてのトラブルは負の連鎖の始まりでした。ふたたび異変が起きたのです。エンジンを掛けると、排気音がすさまじく上がったり下がったりと不安定に。「ははん、またキャブが汚れたんだな」と慣れた手順でキャブ清掃をしましたが、問題は解決しませんでした。

そして異変に気づきました。キャブレターとエンジンをつなぐマニホールドを留めている、インシュレーターというゴムの一部が裂けて飛び出ていました。エンジンが二次エアを吸ってアイドリングが安定せず、そのままではエンジンが止まってしまう症状です。

この車両に装備されたSUキャブは造形美に溢れている半面、図体がデカく、そのくせそれを支えるステーが一本のみ。そのためキャブの重みがインシュレーターを引っ張って、裂いてしまうということでした。そしてこのトラブルは数度にわたって筆者を悩ませました。

トラブルがあるたびにロードサービスを呼び、バイク屋に運んでもらう。そして修理完了後に引き取りに行く……。パーツ代と修理代で約1~3万円くらいでしょうか。良心的ではありますが、こうも続くとさすがに気が削がれます。そこで遂に自分で直すことを決心!

―ケーススタディが、徐々に修理スキルをアップさせる―

電話を耳に挟みながら(今はスマホのフェイスタイムやスカイプを駆使しているので、より正確になりました)、メカニックの指示通りにやってみると……。意外にも簡単に修理ができ、最後にエンジンを掛けて走ってみて、直っていることを確認します。

各パーツの役割や補充すべきオススメパーツのメーカーや品番、その作業に必要な工具なども伝授してもらいます。そうすることで次から同じ不具合が出ても路上でサクサク修理でき、自分でトラブルを解消できると、自然に達成感や自信が湧いてくるんですね。

もちろんトラブルは続々発生します。イグニッションスイッチが突然バラバラになる、エンジンオイルのドレンボルトが抜けてオイルを路上に大放出、エキゾーストパイプのボルトが高速走行中に飛んでいく、ドライブベルトが裂ける、レギュレーターのパンク……。

まるでモグラ叩きゲームのように出てくる新たなトラブル。そのたびにロードサービスとバイク屋の世話になる、というのはデフォルトですが、キャブやインシュレーターと同じ要領です。

一つずつ経験と知識をコツコツと貯めて賢くなっていくのが実に気持ち良い。

ショベルを手に入れる前に、分厚いマニュアル本で知識を叩き込むより、こうしてリアルにトラブルを経て得た知識やスキルの蓄積は旅先での不安を払拭するだけじゃなく、同じようなバイクに乗る人を助け、助けられることで新たなネットワークも広がっていきます。

これだけは必ず知っておくべき!

最後に、深刻な故障に発展する前に知っておきたいことをひとつ。マシンが発するサインを五感で受け止めましょう

手足に感じる金属の振動や排気音に混じる異音、嗅ぎ慣れない異質な匂い、不審なオイル漏れ……。それらの早期発見がトラブル回避の近道です。

修理の習熟とある程度の財力、乗れない間の足、そして何より信頼できる主治医のようなメカニックが揃えばあとは経験あるのみ。ハードルをひとつずつ越えた先に、深まっていく愛車との絆。一歩踏み込む勇気がある方はぜひ体験してみてください!

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