稚内~ロシア領サハリンの気軽な海外ツーリング。現在は廃止されてしまっていますが、復活の動きが始まってきています。
再開の日のために、「サハリン単独単車旅」とタイトルし、サハリンツーリングのエピソードや情報をバイクコラムとして紹介していますが、今回は連載3回目となります。
宗谷岬よりも北の街で、それは起こった!
※サハリンの道
日本最北端の宗谷岬より遥か彼方、北緯51度の北の街ノグリキでのことです。現地の人に道を聞くべくバイクを止めると、突然二人の少年たちに囲まれました。
サハリンでは日本製のバイクが珍しいため、どこに行っても子供たちに人気があるのですが、その日は様子が違いました。突然奇声を上げると、子供たちはどこかに去って行ったのです。
ふと見ると、バイクのキーがない!!
きっと「お宝ゲット!」とでも言って、はしゃいで逃げたのでしょう。盗まれたこっちは大迷惑!途方に暮れることになりました。
※この子達は盗難とは別の子です
何が起こったのか伝えるのも一苦労!
警察署に行って、トラブルに巻き込まれたことを話そうとしましたが、私はほとんどロシア語が話せないので、要件が伝えられません。
今度は英語が話せる婦人警官が出てきましたが、実は英語すらろくに話せないので、警官たちは困り顔。
結局、日本語が話せるロシア人に電話で通訳してもらい、何を困っているのかを伝えることができました。
意思を伝え、帰国に近づく
警官は「事情は分かったが、バイクの鍵を盗んだ子供を見つけるのは難しいだろう」と言いました。とっさのことで子供たちの特徴も覚えていないので仕方がありません。
その日の夜に、貨物列車に乗せて、約700㎞離れたユジノサハリンスクに戻るつもりだったので、「バイクを駅まで運ぶトラックを手配してもらうか、直結でエンジンをかけられる人を紹介してほしい」と頼みました。
陽気なアンポンタン兄ちゃん登場!
ほどなくしてトラックが到着し、陽気な兄ちゃんがエンジンの直結にチャレンジしてくれるものの、ロシアに日本のバイクなどで出回っていないので、配線など分かるわけがありません。
ましてやこの兄ちゃんときたら、工具すら持たずに素手でやろうと言うのだから、どこまで本気なのやら。
役立たずの兄ちゃんに、「もうお遊びはいいから、早く駅まで運んでくれよ」と言って、強引にトラックを発車させました。
命からがらサハリンを脱出!
※サハリン鉄道
夜行列車に連結された貨車にバイクを詰め込み、なんとか北緯51度の街を脱出!
ユジノサハリンスクからフェリーの出ているコルサコフまでトラックをチャーターし、何とかサハリンを脱出!
忘れられない苦い海外ツーリングになりました。この時から、ツーリングには必ずスペアキーを持ち歩くようになりました。
初のサハリン単独ツーリングは、トラブルで終わりました。
トラベルにトラブルはつきもの。それを楽しむ度胸がなければ、海外ツーリングはできません。もっとも無事に帰ったからこそ言える話ですがね。
連載第4回へ続く
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