【総合評価】幻の知られざる名車 BMW R65LSの魅力を紹介します

私が愛してやまない幻の名車、BMW R65LSは、BMWが誇るボクサーエンジンに、刀デザインのハンス・ムート手掛けるカウルを乗せた『見た目』『中身』共にスゴイ豪華スポーツモデルです。

今回はユーザーの総合評価ということで、私が所有して感じているBMW R65LSの魅力や特徴など、細かい部分も含めてレビューしたいと思います。

BMW R65LSを購入するきっかけ:

私がBMW R65LSと出会ったのは、大型自動二輪を取得し、「さて、何乗ろう?」と色々検討しているときでした。元々大型を目指したのは、スズキGSX1100S…通称刀(KATANA)に憧れていた為で、実際に400の刀は中免取った時に乗ったこともありました。

そんなとき、ある漫画に、とあるバイクが登場します。漫画は「ああ、女神様」、バイクは「BMW RS500」。

通称R54だとか、レン・シュポルトと呼ばれる、水平対向エンジンが特徴的なこのバイクは、思わず「これだ!」と思うほどの衝撃でした。

しかしながら、R54はいわゆるレーサーマシンで、当時でも現存するエンジンが世界で4台という超希少バイクだったのでした。

調べるほどに想いは募りますが、どうにもなりません。何とかならないものかと見ていると、これまた衝撃的なデザインのバイクを見つけました。

R65LS…あのR54と同じBMW水平対向エンジンで、デザインは刀と同じハンス・ムート。私にとって、R65LSはこれ以上ないほど、理想的なバイクだったのです。

満足している点:

何といってもデザインです。GSX1100Sがその名の通り「刀」なら、R65LSは、弓を極限まで引絞り、今正に放たれた「矢」といった感じです。

刀をデザインする前の、ハンス・ムート(のチーム)がデザインしているだけあって、所々に刀のルーツ的なものが垣間見えます。どちらかというと、同じハンス・ムートデザインのGS650Gに近いのかも知れません。

BMW水平対向エンジンの独特のフィーリングも溜まりません。最初、右方向に振れてドコドコと回転が上がっていく感じは、他のどのバイクにもない、BMW水平対向…ボクサーエンジンならではでしょう。

ここに注意!中古車選びの注意点と不満点

最初にR65がリリースされてから、そろそろ40年が経とうとしています。R65LSは、そのシリーズのスポーツモデル(LS:ラグジュアリースポルト)なのですが、どんなタマも全部30年以上経過している、とても古いモデルです。

この当時のBMWのバイクは、タンク内に錆止め塗装がされているのですが、これが経年劣化でボロボロになっています。

これは20年前くらいから言われているところなので、もしかしたら対策されいるモノもあるかも知れませんが、タンクとキャブの間にフィルターが付いているものは、5km程度乗ってからフィルターを確認してください。

汚れが溜まっていたなら、乗り出してすぐにキャブがオーバーフローしますので要注意ですね。

古いバイク、しかも外車ですので経年劣化したパーツ対策に結構なお金が掛かります。多少高くとも、メンテ込みで付き合える信用のおけるバイク屋さんで購入しましょう。

第一印象は惚れ惚れするほど!

BMWのR65シリーズは、クラシカルな見た目に当時最新式の機構を詰め込んだBMWのヒットモデルでした。R65が羊の皮を被った狼なら、R65LSは、見た目も狼中身も狼といいましょうか…

それまでのBMWは、そのお国柄か質実剛健、無駄なものは一切ない美しさがありましたが、L(ラグジュアリ:豪華な)S(スポルト:スポーツモデル)の名の通り、奢れる装備がふんだんに散りばめられています。

ノーマルR65がシングルディスクなのに対し、LSはダブルディスク。専用軽量化ホイールに攻撃的なマスクのフロントカウル。その姿は、刀同様、今見ても全然カッコいいのです。

実際に乗った感想:

センタースタンドが付いている為、最初に持ち上げるように起こすのですが、これがとても重い。跨っても、両足の前にボクサーエンジンのシリンダーが突き出しているので、足元がよく見えません。エンジンが始動すると、グルンと右に持っていかれます。

しかし重いのはココまで。走り出すと、恐ろしいほどに安定しています。LSは若干前傾姿勢なんですが、運転中はエンジンピストンの振動が全く気になりません。水平対向なので、エンジンノイズが運転に影響しないんです。

ドイツはアウトバーン(高速道路)が有名ですが、これならばいくらスピードを出しても怖くない…そんな風に思える安定さでした。

車高、足つきはどうか?

170cmの私が跨った印象は、辛うじて両足が着くくらいです。若干シートは高めかも知れません。しかし、走り始めると脅威の安定性がある為に、運転で怖いところはほぼないでしょう。

張り出したシリンダーが足元の視界を阻害しますが、高速時はそんなところなど見ないので、スピードを出せば出すほど楽チンです。

難点は、町中の信号みたいなストップ&ゴーが多いところですね。停車時、片足をベッタリ着いて止まるよりは、バイクの自重に任せて、両足でちょこんと立つほうが安定してました。

コスパはどうか?

当時の最高級バイクだったのですが、既に40年近く経つので現在はおよそ1/4くらいで購入出来ます。ビンテージ的な値上がりもほとんどなく、純粋な価格のコスパとしてはよいと思います。

稀に個人所有で、ものすごい大事に乗っていたタマもあるのですが、大抵はメンテ込みになると思うので、初期費用+メンテ代を考えると、国産車のほうがお手軽かも知れませんね。

あの高級バイクのBMW乗りというステイタスは出来るので、比較的安いコストで虚栄心を満たせます。

維持費やメンテナンスのしやすさ:

ドイツの移動手段用バイクなので、燃料タンクはたっぷりです。一度燃料を入れたら、ツーリングなどでも片道は充分なくらい走ります。

当時の最新式機構といってもOHVですので、構造が非常にシンプルです。つまり、壊れにくく直しやすいと言えます。経年のダメになってくる部品が多いので、これを機会に自分でメンテするとよいかも知れません。

2本サスですから足回りのメンテも楽ですし、自分でイジるのも楽しいです。

取り回し:

エンジンを切っているとクソ重いんですが、半クラで移動するととても軽くなります。

R65LSは、なんと乾式クラッチなので、1速ノークラでも動きます。これを知っていると、取り回しは嘘のように軽くなるのでオススメですよ。

購入検討者に向けてのメッセージ:

もう大分古いモデルとなってしまったBMW R65LSですが、そのスタイルは今も通用すると思ってます。

何といっても、水平対向のボクサーエンジンのインパクト。そしてあの刀の流れを組むデザイン。650ccなのでパワーもあります。

見た目で惚れたなら、最初はちょっと手がかかるけど長く付き合えるバイクですよ。私がR65LSに惚れて20年、手に入れて約15年。今はちょっと埃を被ってしまってますが、いまだ大好きなバイクです。

当時はLSの情報がほとんどなく、サイトにあるのは全部外国語でした。とりあえず専用フォルダに画像保存したり、スペックをExcelに入力したり、翻訳サイトでカタコトに直したり…私のPCスキルもコイツのおかげだったのかも知れません。

どうしてもLSの意味が分からず、勝手に「ライトニングスポルト!」と言ってはしゃいでいたのも懐かしい。同じライトニングだからと、ビューエルの限定ホワイトライトニングカラー(白ベースに青マフラー、青ホイール)にしたりもしました。

※2007年にHP2メガモトが発表されたときは、ようやくライトニングカラーのLSが発売されたと喜んだものです。

BMWの安定ボクサーエンジンと、ハンス・ムート(刀)の攻めデザイン。ドイツで鍛えられた名刀は、今も色褪せることはないのです。

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