「リターンライダーは事故りやすいのか?」
数年前からニュースでも流れ、注意喚起がされているので、あなたも気になっていることでしょう。
結論からいうと、リターンライダーは事故りやすいといえそうです。
警察のデータによると、国内の交通事故による死亡者数は、年々減少しています。しかし40~59歳のバイク事故による死亡者数は、10年前の2倍になっているのです。
しかも、バイクを買う人のおよそ半分が、40~50代といわれています。
つまり「リターンライダーは事故りやすい」という明確な数字はありませんが、事故死数やバイク所有実態、リターンライダーが増えている状況――からすると、そのようにいってしまってもいいと思います。
◎身体能力とバイク性能
原因は明らかです。40代以上の運動能力は、20代30代より劣るからです。バイクは身体能力が問われる乗り物ですから、加齢は不利といえるでしょう。
また、保有するバイク性能が格段に上がっていることも、事故の原因のひとつです。
免許制度が変わり、大型バイクの免許が取りやすくなりました。大型バイクは、デザイン、カリスマ性、性能、どれをとっても、小さな排気量のバイクより魅力が大きいのです。40代以上は経済的な余裕も大きく、大型バイクを買えます。
リターンライダーは大型バイクを所有しやすい人といえるのです。また、若い頃に乗れなかった大型バイクに乗るためにリターンライダーになった人も多いでしょう。
◎大型バイクの魅力が事故の原因にも
大型バイクの魅力のうち、問題になるのは「性能」です。最も高性能のバイクは、簡単に時速300kmを出すことができます。交通事故の被害を大きくするのは、スピードですから、スピードが出る乗り物はそれだけで危ないといえます。
かつて、時速300kmが出せる場所といえば、サーキットかドイツの高速道路アウトバーンくらいでしたが、高性能バイクがこれだけ普及すると、国内の一般道路や高速道路でも、200km以上出す人もいます。
大型バイクの危険性は、まだあります。重いことです。目安としては、中型バイクで200kg、大型バイクで250kgぐらいです。例えば、登山でかなり重い荷物を背負う人でも、せいぜい30kgです。人間が自分の力だけでコントロールできるのは、その程度です。
バイクは、エンジンとタイヤがあるので、普段の走行では、200kgのバイクでもコントロールできているような錯覚を起こします。しかし「バイク事故」とは、「エンジンとタイヤをコントロールできなくなった状態」でもあります。つまり事故の瞬間、ライダーは自分の力だけでバイクの重さと向き合っているのです。重いバイクは危険なのです。
◎事故らない人は事故らないようにしている
「リターンライダーは事故りやすい」のは事実ですが、「リターンライダーは事故る」わけではありません。つまり、リターンライダーには、事故る人と事故らない人の2種類いるわけです。
大型バイクに20年ぶりに乗っても、事故らないようにするには、ライディングを学ぶことと、スピードを出さないことです。バイクメーカーや警察が、ライディングスクールを開講しています。こうした学びの場は積極的に使いましょう。
そして、大型バイクの性能をすべて使い切ることは無謀であることを知っておいてください。
大人の節度をもって、能ある鷹は爪隠すライディングの格好よさを、若いライダーに伝えてあげてください。
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