W650を買うまでの道のり
2009年に絶版となって以来、少なくともウェブ上の情報では新車がゼロとなってしまっている現在のW650。それでも中古車市場では、まだ難なく手に入れることはできます。またFI化と排気量アップでリニューアルしたW800は今年で生産終了も、まだ新車は入手可能。
必然的に中古のW650を買うか新車、もしくは中古のW800を買うかの三択になりますが、それは貴方ご自身が大いに(楽しく)悩んでいただくとして、今回は筆者がW650を新車で購入した時の体験を綴ることで、購入のアドバイスとさせていただきたいと思います。
そもそもなぜ新車にこだわったのか。当時は中古のヤマハSR400を所有し高速道路を使って片道50㎞を通勤していました。アルミタンクやセパハンでカスタムされた、それはそれはカッコいい一台だったのですが、それだけのヘビーユースには耐えられませんでした。
前オーナーによるカスタムは、見た目は良かったけれど耐久性に問題アリでした。特に社外マフラーが単気筒の振動を助長し、それをパーツが拾い金属疲労を起こすという悪循環。高速道路上で、リアアクスルシャフトが折れてしまったのを機に乗り換えを決意しました。
そう、誰がどれくらい乗ったか判らない出所不明の中古車よりも、心の底から気に入った1台を新車から自分で手懐けて一生乗っていたい、という結論に達しました。いわゆる“アガリ”バイクです。実際の購入はさらに1年後。頭金を貯めるまでお預けでしたけどね。
SRと同じ匂いの大型バイクと言えばトライアンフが候補として濃厚。でも一方で映画「彼のオートバイ、彼女の島」のW3にも惹かれていた時代。英国文化は自分から遠くにあり、日本の風景に溶け込む等身大感のあるW650に、気付けば想いを募らせていました。
そうして選んだのが’05年のシルバー。なぜか唯一、トライアンフチックなエンブレムのない、スッキリしたタンクデザインだったのでこのモデルに的を絞りました。すでに’06年モデルが流通しているタイミングだったので、残っている在庫はウェブで検索して発見。
さほど近くはないものの、神奈川県内のカワサキ正規店に1台在庫があるとのことでしたので、さっそく購入しました。特に値引きに期待していたわけではありませんが、昨年モデルということもあり、10万円の値引きがあったのは嬉しかったですね。
特に新車を購入する場合は、そのメーカーに特化したディーラーと付き合うのが良いと思います。こまめな点検やオイル交換などのメンテはもちろん、国内で唯一ベベルギア採用のバイクゆえ、そのメーカーの作りを知り尽くしたエンジニアにお任せするのが一番安心。
理想は購入したショップで車検や整備、カスタムの世話になり、手放す時も同じ店に下取ってもらう。そうすれば中古車として売る際に、お店は自分たちが扱った車体だから説得力があるし、次のオーナーは安心して乗れる、と車体の“引き継ぎ”がしっかりできます。
購入時の値引きやオプションの有無だけでなく、その後のマシンを観てくれる専属ドクターとして。そこまで見越して新車のバイクを買うなら、そのメーカーに的を絞ったディーラーで、というのが著者の感想です。
コメントを残す