―マイナー車輛のフェニックスの中古車市場の現実―
今では消滅してしまったメーカー、フェニックス。もともと小さなメーカーであったために、中古車市場を探してもなかなか現物に遭遇することは稀です。
しかし迫力あるルックスのカスタム車が公認車として乗れるのは、大きな魅力かもしれません。
―フェニックスの中古車数と価格相場―
中古車検索サイトでフェニックスを探してみましたが、2016年9月現在のヒット数はわずか2台と非常にマイナー。
また車種名にH.D.の記載や年式が明記されておらず、「ショベル・リジッド・カスタム」などとボカした表記の車両はフェニックスの可能性があります。
価格帯も150万円台~200万円台と、ショベルカスタムとしては安価です。これがH.D.の純正ショベルで同じ仕様なら250万~300万円台は下らないはず。
なぜフェニックスと明記しないのか、それは恐らく「H.D.ではないから」というのが理由ではないかと思います。
H.D.とは別のメーカーですから当然、車検証に記載のメーカー名はフェニックスとなります。そしていかにカッコいいカスタム車であってもリセールバリューは月とスッポン。さらネットで囁かれている悪評から、中古車市場では厄介者扱いとなっているのが現状です。
H.D.ショベルのヴィンテージという肩書きに重きを置くならば、絶対に手を出してはいけませんし、エンジンにS&Sとハッキリ刻印されているので、興味をもったなら必ず実車を確認してから話を進めましょう。では利点はないのかというと、そうではありません。
―フェニックスのメリット・デメリット―
それは大掛かりな修理で、ヴィンテージパーツにこだわらなくても良い点。
エンジンが焼き付いてしまった、コンロッドが折れてしまった、などの大手術では代替えとなる当時のH.D.純正パーツを探すには、長い待ち時間やヴィンテージパーツのネットワークが不可欠。
また純正にこだわるゆえ、リプロの社外パーツを組み込むことに躊躇する人もいます。その点、フェニックスはそもそもがS&S社のエンジンなので、そうした気苦労はゼロ、というわけです。その心情的な葛藤をクリアできたならフェニックスは許容範囲内でしょう。
しかしもう一つの問題である悪評をどう捉えるか。
ネットで拾った情報をまとめると、フェニックスというメーカーは、本拠地はアメリカながら日本人が経営していたようです。エンジンに当たり外れがある、アフターサービスが悪い、というのが悪評のほとんど。
S&Sのコンプリートエンジンはそれだけでは非常に精度が悪く、他のパーツとのかみ合わせもよろしくない。
そこで一度、バラして個々のパーツ精度を高める必要が生じてくるんですが、それを行うメカニックの技術力に大きく左右される、というのが真相のようです。
ですので、まずは信頼のおけるメカニック、故障と修理の記事でも述べましたが“主治医”的な、信頼を寄せられるメカニック、あるいはショップの存在が大きなカギとなるでしょうね。筆者の場合、運よく腕利きのメカニックと出会えたことが幸いでした。
最後に、フェニックス・ショベルを選ぶ上でのメリット、デメリットをまとめてみました。
●メリット
・ショベルヘッドエンジンの力強いエンジンフィーリングを体感できる
・リジッドフレームやスプリンガーなど、手の込んだカスタム車両が公認車として乗れる
・同じく手の込んだカスタム車が比較的安価で乗れる。
・修理にH.D.ショベルのヴィンテージパーツにこだわる必要がない
●デメリット
・中古車両のコンディションに当たり外れがある
・リセールバリューは期待できない
・純正H.D.との越えられない壁
・リプロダクトであることの負い目
以上を踏まえてフェニックス・ショベルを購入すべきかと問われれば、あえてリスクを負う必要性はない、というのが筆者の結論です。
とはいえ、5年ほど乗り続ける間に心情的なデメリットは払拭され、愛着すら湧いて手放せない存在となったことは間違いありません。
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