バイクにとって「走る」「曲がる」「止まる」の3つの要素が、乗り心地を左右します。いくら速いバイクでも安全に曲がることができなければ意味がありませんし、それを止める制動力も必要です。
カワサキがGPZ400Rに求めたものは、ストリートでの乗り心地でした。ここでは「走る」「曲がる」「止まる」の3つの要素を中心に、GPZ400Rのインプレを紹介します。
走る:
みなさんは「よいバイク」と聞いて、どんなバイクを想像しますか?
トップスピードが速い、加速に優れている、装備が豪華、燃費のよいなど、定義は人それぞれだと思います。
例えるなら、サーキットでは、高回転でトップスピードが速いこと、ダートなら、ドロドロの道でも進むトルクがあることなど、シチュエーションに応じて理想の走りが実現できることが、「よいバイク」の定義と言えるのではないでしょうか。
GPZ400Rはストリートでのライディングに重点を置いたことにより、連続で2年もベストセラーに輝きました。
乾燥重量176kgの巨体は、決して取り回しがよいものではありませんが、走り出してしまえば、それが安定感の源であることがわかるはずです。
当時の自主規制いっぱいの59馬力のエンジンは、市街地でも、ワインディングでも、高速道路でも、どんなシチュエーションでもストレスなくパワーを発揮します。
曲がる:
GPZ400Rのパワーユニットを包むのは、AL-X(アルクロス)フレームと名付けられた新開発のフレームです。その名の通り、X状にエンジンを支えるため、軽量かつしなやかな走りを実現しています。
GPZ400Rには兄貴分として、輸出向けのGPZ600Rがありますが、これにはAL-X(アルクロス)フレームは採用されていません。このことからも国内市場におけるカワサキの意気込みを感じることができます。
止まる:
足回りに目を向けると、フロントサスペンションには、イコライズドセミエア式フォークがセットされています。
このシステムは、AVDS(オートマチック・バリアブル・ダンピングシステム)と名付けられ、強いブレーキほど安定した踏ん張りを引き出します。
リヤにはカワサキお得意のボトムリンク式ユニトラックサスペンションを採用。エアバルブからエア注入することで、スプリング特性を調整が可能。減衰力はプッシュ&プルレバーによって4段階の調整が可能です。また、ブレーキにはシンタードパッドが装備され、十分な効きを誇っています。
カワサキが、「クラスを超えてスーパースポーツ市場の完全制覇を狙った」というGPZ400R。
低速すら高速まで、全ての領域をカバーするパワーユニットだけでなく、適度な厚みの疲れないシート、タンデムグリップや、荷掛けフックなどのツーリング向けの装備など、高い目標を実現した、オールラウンドな一台だと思います。
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