1980年代中ごろから、ジワジワとレーサーレプリカブームが湧きあがりました。レーサーレプリカとは、競技用車両のスペックを備えた市販車です。250ccであっても4ストローク4気筒は当たり前、早く走るために全身をカウルで覆った至高のバイクです。
ここで紹介するカワサキのGPz250は、1983年に発売されたにもかかわらず、完全にムーブメントに背を向けたな奇妙なバイクです。そのため、新発売なのに”流行遅れ”と呼ばれていました。
一見的外れに見えるGPz250には、実はカワサキのこだわりがたっぷり詰まっていたのです。
購入費や維持費に関して
私とGPz250の出会いは、発売から10年も経過した1994年のことです。
バイクショップの前に止まっていた赤いGPz250は、タンクがへこみ、所々くたびれた感じでした。聞くと、「売り物と言うより、ショップの代車として使っている」とのこと。
値段を聞くと、現状車で10万円(新車価格は38万円程度)ポッキリと格安だったため、購入を決心しました。
「ダサさ」の裏側に秘められた「カッコよさ」を見抜いた私は、みにくいあひるの子をハクチョウに変えるべく、すぐに作業に再生に取り掛かりました。
へこんだタンクを自分でパテ埋めし、缶スプレーを使って色を塗り直します。費用は約3万円。ほとんど不眠不休での作業となりました。
その甲斐あって、オンボロのGPz250は、ショップの店員が”Z400GP”と見間違うほど、渋い旧車に生まれ変わったのです。
乗りやすさは?
サイドが丸く加工されたシートは、小柄なライダーにも優しく、レーサーレプリカのように無理な前傾を必要としないポジションもラク。
ハーレーにも採用されているベルトドライブ駆動は、静かで注油などいらないメンテナンスフリーと言う手軽さです。
スリムながら、17ℓも確保されたタンクと、実用的なSOHC2気筒のエンジンのおかげで、リッター25~30㎞以上の燃費とロングランを実現しています。
給油の目安が分かりやすいように、燃料計が付いているのもカワサキらしいこだわりです。
足つきに不安な方へ
当時は「女の子バイク」と呼ばれたほど、スパルタンさに欠くバイクですが、それは誰にも乗りやすく扱いやすさの証でもあります。
シート形状により足つきもばっちりですし、程よくクッションが効いていて、長時間のライディングでも尻が痛くなることはありません。シートが大きいので、タンデムにもツーリングにも最適です。
「いぶし銀」
GPz250は、そんな言葉がぴったりなバイクです。ショップやオークションでもなかなかお目にかかることは少ないですが、古き良き旧車の匂いを振りまく珍車に、一度は乗って見てほしいですね。
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