1980年代は、まさにレーサーレプリカブーム。ホンダからは、NSR、CBR、VFR、ヤマハからは、TZR、FZR、スズキからは、RG-γ、GSX-Rなど、レーシーなバイクがリリースされていました。加熱するレーサーレプリカブームの中で、残念ながらカワサキだけが蚊帳。当時ロードレースから撤退していたため、元になる”レーサー”がなく、レーサーレプリカを作ることができなかったのです。このような不利な状況の中で、カワサキが求めたのは「扱いやすさ」でした。1985 年にGPZ250Rを発売。1987年には、さらにポジションや装備、燃費などを見直したGPX250Rがデビューしました。
・具体的な数値:
カワサキは、GPX250Rを登場させる2年前に、GPZ250Rを発売しています。パワーユニットに、カワサキ初の水冷4サイクルDOHC2気筒エンジンを搭載、最高出力43馬力を誇るとともに、空力を研究したエアロフォルムを身に纏って登場しました。しかし先駆的すぎたデザインとインパクトに欠ける性能に、カワサキファンからも「珍車」の烙印を押されて敢え無く撃沈。二本目の矢としてGPX250Rが放たれました。
エンジンは、GPZ250Rをベースに2馬力アップ。2気筒ながらライバル各社と同等の45馬力になりました。評判の悪かった未来的デザインも、当時人気を博していたGPZ400Rに似せた重厚感あふれる姿にイメージチェンジ。新しく生まれ変わったパワーユニットとエアロフォルムにより、定地燃料48ℓ(50㎞/h)の燃費を叩き出すことも成功しました。
・街乗り、高速時、長距離走行時の燃費:
カタログ表記の定地燃料48ℓ(50㎞/h)は少々大袈裟ですが、街乗りでもリッター30㎞以上、長距離ならリッター40㎞くらいの低燃費です。燃料が18ℓも入るので、給油場所が少ない山間部や高速道路でも、残量を気にしてハラハラせずに済みます。最高時速160㎞、ノン給油400㎞巡航も可能。小さいながらも立派なツアラーです
・燃費向上で工夫したこと、工夫できることなど:
せっかくのエンジン性能を落とさないようにメンテナンスすることが一番。具体的には、タイヤの減りに気を付けたり、マメにチェーンオイルを注油したり、空気圧を適切に保ったり、エンジンオイル交換を定期的にすることです。基本的には、メンテナンスフリーなので、誰でも扱いやすいバイクだと思います。
もしGPX250Rの成功がなかったら、三本目の矢であるZZ-Rや、四本目の矢であるNinja250Rも発売されず、伝統のツインエンジンの歴史も途絶えていたかもしれません。もし乗ることがあれば、現代にも通ずるポテンシャルの高さを体感してみてください。
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